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フローズン カクテル

♪ クリスマス・イブ(ネンネ 後編)

♪ クリスマス・イヴ ( ネンネ  後編 )

祥子が19才の誕生日に カノジョの父親は、ボルボを買い与えた。

ボディが硬く 『 走る装甲車 』 と言われていた その車は

『 世界で一番 安全な車 』 と 評価されていたからだ。


祥子と 白いボルボは けっこう似合っていた。


週刊誌の 『社長令嬢のコーナー』 でも

白いボルボと シャネル で キメた 祥子が

他の大企業の令嬢よりも ヒトキワ大写しで載ったほどだった。




翔子が大学3年のイヴの晩

栃木の友達の家で行われた クリスマス・パーティを終え

東北自動車道を 一路 成城の自宅に向かっていた。


午後から 雨が降り始めた・・・

そんな イヴの夜だった・・・


サークルの先輩の運転するシルビアで

行きと同じ様に女の子3人で 歌いながら・・・

笑いながら・・・

パーティの余韻を乗せたままのドライブだった・・・



浦和料金所 手前の 小さな渋滞に並んだ瞬間

後ろから来た 居眠り運転のトラックが

祥子たちを乗せたシルビアを 襲った!



祥子は K市医療センターの救命救急センターへ運ばれた。


当直だった ボクの兄が担当医になった。


誰もが あきらめていた・・・


『 おにぃちゃんのお兄ちゃん... 』

手術(オペ)の中、意識のないはずの祥子が 兄の名を呼んだ・・・




祥子は、世界で一番 安全な車に乗り・・・

誰よりも キュートに微笑んでいた・・・


シアワセの真ん中で 

いつも誰かに守られているような女の子だった・・・


ー★ー☆ー★ー☆ー★ー☆ー★ー


ボクの兄は名医すぎた・・・


       
奇跡とも言える手術(オペ)で

祥子の命を 救ってしまった。


二度と歩くことができない・・・ 

という 残酷な結果を知っていながら・・・



「 おにぃちゃんの助手席が 一番 好き♥  ...だから お守り♥ 」

事故の一週間前、祥子は 助手席のサンバイザーに

『 金のX'mas ベル 』 を 付けながら そう言った。




祥子は おちゃめで...

甘えん坊で...

わがままで...

可愛くって...

超一流のレディで ... 

そして ネンネだった...




あれから10年・・・

ボクのクルマは 何台も変わったけれど

助手席の X'masベル だけは 変わらず  ボクを守っている・・・

DJテントン ネンネ プレリュード.jpg

♪ 雨は夜更け過ぎに  雪へと変わるだろう

  Silent night 、Holy night

  きっと 君は 来ない...

  一人きりの クリスマス・イヴ

  Silent night 、Holy night



  心深く 秘めた想い   叶えられそうも ない...



  必ず 今夜なら  言えそうな 気がした...

  Silent night、 Holy night



  まだ消え残る  君への想い...  

  夜へと 降り続く・・・


  街角には クリスマス・ツリー

  銀色の きらめき

  Sirent night、 Holy night ...


  きっと 君は 来ない・・・

  ...

                  ♪ 山下達郎 ( クリスマス・イブ )